樹海の夜/ホロウ・シカエルボク
 
書いている
これがどこへ行くのか
どうすれば終わるのか
いまでもまだ判らない
言葉は生まれ
ばら撒かれ
忘れられ
組みかえられ
嘘が本当になり
本当は白ける
本当は嘘になるが
嘘のようには残らない


夜が明ける前に
明りを消すべきだろうか
明りを消したときに
眠りを思い出すだろうか
眠りたいわけじゃなかった
だけど
起きたままでいたいわけでもなかった
樹海の中で
行き場を失くしたみたいに
夜を彷徨っていた
コンパスはどこも示せず
針はクルクルと回っている


空耳か
外を行く誰かの声か
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