生活をしていると/岡部淳太郎
 
から
ますます尊く ますます
敬うべきものとなるのだ
そしてそうしたものに取り囲まれて
どこにも行けなくなっているこの身は
ますますどうでもいいものとなって
それゆえに いまここに
生きているということを感じられる
今日も洗濯物を取りこみ 花に水をやり
米を炊いて それを食べ
風呂に入って 汚れを落とし
私自身の疲労を汚れとともに落とし
どこまで落としたら
このわがままな感情と計算を捨てて
白いものになれるのか
わからないまま眠りにつく
夢さえも見ない暗さの中で
白い 色のない自身の魂の中心へと
落ちてゆきながら

生活をしていると
すべてが意味を殺めなが
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