地平/茶殻
として
そいつは限られた間口と限られた奥行きにすぎないわけだが
それはつまり僕のスタンダードに過ぎる性癖に似ている
かつての恋人の可愛げのない性器にだって似ている
君はボタンを掛け違えたことを憂うより
ブラウスを手に取ったことを嘆くべきだ
セーターを編んでやることは出来るかもしれない
美しい裸こそ催すことが難しい
週末、
ある女は自らの肌を蜘蛛の巣に曝し
ある男はそれを半裸になり覗き込む
唯物のあらわれか手持ち無沙汰にあちらこちらを指の腹で探り
膿を探し当ててはプチ、プチと白濁を放つ
首のない写真とともに暮らしていくことに
名前のない女とともに暮らしていくことに
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