地平/茶殻
とに
金のかからない愛の好都合と不都合の天秤に
宗教的大衆に祀られた無菌室のような天国に
そのなけなしの余白を今に失いそうな小舟に
イミテーションを飾る空白などありはしないと思うわけだ
ラジオでニュースを読む男の平坦な声の
唇のひとつひとつの動きが
チャップリンのように速度を変えながら
シームレスの10秒を重ねていく
柔らかなてのひらを持ち
カスタネットのようなえくぼを包み
背中合わせの愛と憎を結わえることで
舟は私とあなたの同乗を許すだろう
そんなことで何が変わるとは僕は思わないが
白線の国境をノックしまたいでみる
長電話だってするさ
影と話し込んで出す解はしのびない
咎められない裏切りは虚しさにすぎない
そんなことで世界は終わってくれやしない
のさ
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