雨上がりに開く傘のおはなし/るるりら
折り畳み傘の畳み方には コツがあって
器用ではないのに私は そこは 得意で
自慢するほどでもないことが一番素敵で
端麗に畳まれた造花の朝顔を傘だと指差した指が
私の人差し指をちいさな五本の指全部が包む素敵
自慢したことなんてないけれど指の感触残ってる
雨上がり 心を全部 開いて 山風の中を歩いて
傾斜の葛の葉が 風にあおられて 全部同時に ひるがえって
白い
人々が傘を畳んで 私は上手に畳んででも自慢しない
朝顔が一斉に咲いて人の傘が畳まれたのと同時に朝顔は開いて
観照の境地に 人々は微笑む
寛容になれず譲れず泣かせ罵倒凝り固まる時
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