雨上がりに開く傘のおはなし/るるりら
る時間より
散歩の犬が呼ばれて尻尾を振る様子のほうが美しい
寛容な羊羹のように角は失わず ちゃんと甘い言葉
とてもやわらかなのにちゃんと直線を失わない幼児
自慢したことなんてないけどあの指の感触覚えてる
ひとさしゆびを 五本の指でつつまれたみたいな
たからもの ほかにあるのか探してみる
綺麗すぎる言葉で町はあふれていて
欺瞞の言葉で町はあふれていて
つかれた人は さらに言葉を全部捨ててゆく
捨てた言葉の悲しみの裏に やさしいほんとうが畳まれていると いいな
パぁンと傘みたいに 開いてみせて
朝顔の花みたいに パンと 開いてみせて
自慢して いいよ
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