虚構/takano
 
きったロシナンテが役者をくわえて花道を去っていく
静まり返った夜の湖上のような波紋が舞台の岸邊によせてはかえす 

 批評家たちは ガリバン刷りのタブロイド紙を占拠し、ロシナンテを絶賛した 

・・・・・・・・・・愛にも食物にも餓え、放心した青年の独白は人目を憚り
日常の片隅に住処をみつけ、ぶらぶら宿っている

ああ  太陽は西から上り、斜向かいのビデオレンタル屋に沈んでいく


 水平線を漂う少女のシルエット、日没の暈につつまれたゆたう微笑


獣は正直だ 破滅を予知すれば俊敏にふるまう

潔い集団入水

群れから脱落したとしても 孤独に腹を膨らま
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