虚構/takano
 
らませる

元来、意識をもたない生命体はいかなる神も崇めない

カテーテルの発条を潤滑する 裸体の干物

水に溶かして復元すればふくよかな魚類の餅肌にも匹敵する


 青年はおもった、偽りと虚構に生きようと    



(そろそろと瞑黙の低位まで降りていくと 中世の匂いをまとった洋館にいた その広間のような空間をとりまく 羅列された絵画の壁面をながめていると そこだけ黄金に映えた 一枚の絵にまねかれるように立った)

 不実の儀式が執行される

額縁の中の背をむけた「蛙」が、後足で彼の貌を蹴り上げる

鼻血を垂れたときの酸っぱい臭いが飢えをいやし、ようやく胎内の幼獣は誕生前の揺籃期にはいる


外界の自由を本能に孕みながら
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