田村隆一詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
 
ういうことか。ここで列挙されている逆光線などは、あくまで例示に過ぎないと思います。つまり、入れるつもりになれば他の言葉をここに入れてもよかった。逆光線とは逆らってくるあらゆるものの象徴、愛などは人間のあらゆる精神活動の例示、そう読んで差し支えないと思います。つまり、この詩は、一篇の詩を書くためには、戦後10年間の光(日)と影(夜)にまつわる、逆らって来るものや精神活動を滅さなければならないということを言っているのです。これはある意味矛盾しています。つまり、戦後10年の文化的経済的発展という、「日」の部分によって引き起こされる精神活動などを殺すと同時に、戦後10年を経てもその根底に絶えず横たわってい
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