田村隆一詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
田村はあえて「夜」を強調した。これはある意味奇妙なこととも言えるでしょう。というのも、戦後の四千日、つまり十年間というものは、確かに食糧不足などネガティブな事情も多かったでしょうが、上で見たとおり、民主化・自由化・平等化・経済発展という、ポジティブな事情の方が多かったからです。そのようなポジティブな前進的な四千日を、あえて「四千の日と夜」と「夜」を強調しなければならなかったのは、一番大きな理由は田村の戦争体験でしょう。田村は16歳のとき、中桐雅夫編集の「LE BAL」という詩誌に参加しています。「LE BAL」のパーティーで、鮎川信夫、森川義信、衣更着信、牧野虚太郎、三好豊一郎らと知り合います。と
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