田村隆一詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
起こる雑音のようなものです。初期の田村の詩には、楽音に対応するような単語が好んで使われています。逆に言うと、噪音に対応するような固有名や生活語が排されているのです。固有名はあまりにも強く対象と結びついているので、対象の雑多なあり方まで詩の中に持ち込んでくるので、音楽で言ったら雑音に対応するようなものです。例えば、「岩手」というと、あの岩手県と直接に結び付き、岩手の風物やら歴史やら文化やらあらゆる雑多なものが詩の中に舞い込んできます。そして生活語はあまりにも読者の雑多な実体験と結びつきすぎて、これも雑音になります。例えば、「シャンプー」と言うと、あまりにも読者の生活と密接につながり過ぎて、生活の生々
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