田村隆一詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
能動的に断罪する一方、自らもその罪を犯したのだ、と受動的に懺悔もしています。結局田村は、詩を書くということがそれほどまでに倫理的なことであり、そしてその倫理性は複雑なジレンマの渦中にあるということを示しています。そして、そのジレンマを問題として読者、特に詩人に投げかけることが、結局はこの詩が最も成功裏になしえていることであるのでしょう。
さらにもう一つ技術的な話として、この詩が定型と音楽性を備えていることを挙げる必要があると思います。まず、音楽の構成要素は原則的に楽音と呼ばれるものです。楽音とは、音の高さが明確に分かる音のことで、音の高さが良く分からない噪音と区別されます。噪音とは、自然に起こ
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