くつ下/ヨルノテガム
 

脱ぎ置かれた死角から 隠れたのだ
洗濯物干しからの卒業。津波による浮遊。
倒壊した原子力施設からの避難。死の街、無人の街からの
脱出。くつしたいっぱいの募金。くつした分くらいの虚無。
スマートに隠せない、五本の足指に似た人の悪意欲望裏切り
騙し搾取、そして或るのか無いのか小指の先ほどの、希望。
人間らしさとは、本来酷く救いようのない地獄絵図なのだろうか
中空に浮いた巨大な砂の城が、穴の空いたくつしたの先から
流れ落ち砂時計みたく形を失う
もう、くつしたさえ 穴の貫通した曲がり角のある布の筒となる
未来の見えない望遠鏡、もしくは未来を予見予知する
想像する為の道具、そして
[次のページ]
戻る   Point(1)