生きる証/salco
の子らの舌上で至高の音楽を奏で
至上の夢となり最大の罪過となったように
その時以来我々は
愛に焦がれ、欲し続ける虜となった
何か大きな堕落の陶酔ででもあるかのように
それなしには生きてさえ行かれぬようだ
狂おしく渇望し
追い求め打ちのめされても
震える手を延べ救いを乞う
麻薬中毒者のように
庇護を求める捨て犬のように
時には見境ない悪食漢のように
そうしないと生きて行けない
まるで心臓が
誕生時に傍らで鼓動していたシャム双子の
分離されてしまった片割れを探し求めて
盛んにくっつきたがっているみたいだ
時限装置を組み込まれた
かくもか弱き我々は
なべて生
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