まぼろしの亡骸/ホロウ・シカエルボク
横たわる体に刻まれた痕跡、一度腐り果てたものがまた蘇生したみたいな違和感がその正体だった、じめついたシーツの感触に苛立ちながら、指先はいつも生温い欲望を溜めこんだ性器を弄んでいた…嵐の後なのに空は釈然とせず、だから俺は…外に出るたびに何か嫌なものを呼吸器に詰め込まれたみたいな感じがしていた…わけもなく人殺しが増えるのはこんな季節だ、じめついた、薄暗い…電信柱の根元に手向けられた色を失くした花束を見ながらひとつの詩編を綴った、それは誰かに読ませるためのものではなく…しいて言うなら自分の失われた平衡感覚をなるだけ正常な位置に近づけるための行為だった、浅黄色に枯れた花束はそうした
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