三つの短い散文詩/海里
 
へべれけなベレニケ、すっぴんのスピカ、女神の両天秤、淑女な織女
エジプトの王妃ベレニケは出征した夫の無事を祈ってその髪を神々に捧げましたがそれでも心配で心配で毎日お酒を飲まずにはいられませんでした。農業の女神デメテルの娘ペルセフォネは化粧っけのなさがかえって可愛らしいそばかす娘です。正義の女神アストレイアの天秤は黙認というか何というか微妙なところで女たちが男どもを両天秤にかけることの正義をも主張し、織姫ヴェガがオルフェウスの竪琴に緯糸を掛け織り上げた薄物は光線の加減によっては今にも透けて見えそうなくせにそうそう透けてみせてくれるものではなくまたそれこそがエレガンスとエロスの源なのでした。は
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