光闇論/aria28thmoon
 
彼はその 小さな両の腕に
美しく小さな光を放つ 玉(ギョク)を抱えて産まれた
そう、彼こそは
明けぬ夜の闇に支配されし世界に
再び光を授けんとする使者である

月のむすめは 彼の誕生を知り ひどく怯えた
彼の持つ 光の玉に
指ひとつでも 触れてしまえば
この世に光が満ちあふれ
彼女は消えてしまうだろう
月は夜闇のなかでのみ
輝くことを 赦されている

使者に託されし使命はひとつ
月のむすめを捜し出し
彼女に玉を 触れさせること
彼は?少年?であるうちに
事を成さねばならない
さもなくば 朽ち果て 灰となる
世界は未だ 闇の中

しかし 彼は むすめに出逢
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