喀血するリリックの落ち窪んだベイビー/ホロウ・シカエルボク
 
―この俺はもう、半ば記憶が詰まった薄皮の袋みたいになってしまった、ほんのちょっとしたきっかけで破れたりしたら、その瞬間からもう俺ではないものになってしまうだろう…それは仕方のないことだ、俺は自分を律することの出来る存在だなんて一度も思わなかった、いまだって変らずそうだ、俺を制御することは出来ない、名詞で上手く分けられないものがこの身体からは溢れ続けている、そしてそれは、時々出口を見失ってしまって魂の袋をパンパンになるほどに脅かす、ベイビー、俺はその圧迫を言葉に変えてきた、折りに触れ…俺の魂は手綱の無い暴れ馬のように、荒れ果てた心中の大地を駆け巡る、押さえろ、捕まえろ…だけど誰もそいつを押さえること
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