6月の風/yo-yo
 
った。
ものの本当の姿を捉えようとすることは、とても難しいことだと知った。

親友のHは、毎日太陽を覗いていた。
理科教室の準備室のカギを、彼だけが許されて持っていた。放課後の校庭にフィルター付の望遠鏡を持ちだして太陽を観測し、鉛筆で黒い丸と白い丸をノートに記していく。
そんな彼のそばにいて、ぼくもときどき望遠鏡を覗かせてもらう。太陽には黒い点と白い点があり、黒い点を黒点、白い点を白斑というのだと彼に教えられた。
彼がノートに記していく黒点の、その半分もぼくは見つけられない。白斑はといえば、まったく見つけることが出来なかった。
ぼくに見えないものが彼には見える。そのことだけで、彼がぼ
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