タケイ・リエ小論/葉leaf
言葉は、視覚を連想させる。視野が「焦点を結ぶ」といった具合に。実際、近代の自己同一的で連続的で統一的な自我が一番親近性をもつ感覚領域と言えば、まずは視覚であろう。視覚は、「私」固有のパースペクティブ、つまり自我によって秩序づけられた視点を設定する。そして、目に見えるものは、自我によってこれこれのものとして認識されたり、距離がはかられたり、全体の構図が整理されたり、といった具合に統一されており、しかもそれは常に「私」固有の視点、といった具合に自己同一的であり、さらに、視界は日常の意識では連綿と続いていくものと思われている。だが、タケイが重視するのは視覚ではない。
「ひらくたびになめされあるいは
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