ミナモ/mugi
、もう
ひとりは餓死した、どちらの死も具体的な台詞や映像として描写はされなかった、ただ、そのようにほ
のめかされていたにすぎない、なぁ、仮にキミは明日、とつぜん命を絶たれてしまう運命にあるとす
る、キミの死は、キミの愛する人たち、あるいはキミのことを愛する人たちに、きわめて抽象度の高い
隠喩としてしか伝えられないとする、理由はわからないけれど、直接キミが死んだと伝えることを、世
界は許してくれない、キミはそういう死にかたをどう思う、ボクは彼の問いには答えずに、水たまりに
手をつっこみ彼の手をつかんだ、そしてこちらがわにひっぱりあげた、彼は犬のように頭をぶるぶると
ふり、水滴をあたりに
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