ミナモ/mugi
 
し時計のアラームを25分おくらせる、やがて、詩人がやってくる、ボクは彼がもうここにはも
どってこないことを告げる、今頃、偽詩人が、『オレは犬のそういうところが嫌いなのさ」と喚きなが
ら、彼の首をしめていることを詩人に伝える、犬ですか、と詩人はつぶやいた、詩人がそのようにつぶ
やくと、神話にでてくる怪物のように響いた、





◆8

びしょ濡れの犬が、からだをぶるぶるとふるわせて、水滴は四方に散った、男が耳にしているイヤホン
からは英語のスピーチがながれている、極めて政治的な内容だ、男は路上に捨ててあったビニール傘を
ひろって、それをひらく、もうすでに十分に濡れていると
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