ミナモ/mugi
しているものを補う、しずかな夜に雪がふりつもるように、とても静謐な暴力を必要とする、ふと、ピ
ンポン、とだれかが降車ボタンをおす、ボクはまた位相のことなるボクに意識を手渡す、
◆7
ボクは、キミとおなじカットには存在しない、キミがセリフをいうとき、ボクはまだ映写されていない
フィルムの中で、目をつむっている、あるいは、やがて演奏されるはずの音楽の、ひとつの休符にす
わって、ながれる雲をながめている、キミが偽詩人と夜の浜辺を歩いている頃、ボクはキミの家のベッ
ドで目をさます、野菜のスープとハムとチーズで簡単な食事をとる、キミが読んでいた本の栞をぬき、
目覚まし時
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