饒舌する不在(それが伝言板ならどんな言葉も読み取れることはない)/ホロウ・シカエルボク
あまりやる気のない六月の詩人
くだらない音楽を大音量で聞いている悪趣味な装飾のオデッセイ
噂ばかりが並べられたサイトをクリックしてはなにかを忘れようとしてる引き籠り
緩く長い坂道を時間をかけて下りてゆくあまり手入れされてない自転車のゴムブレーキ
一〇〇円ショップで買ったCDラックに詰め込んだCDの背中を這っているハエトリグモ
前の住人が残した滑り戸の内側のデッサンの狂った何人かの模写
白いシャツの緑のタンクトップが強い風でタンゴを踊る高層マンションの一四階
ケーブル埋設工事の重機の先端がアスファルトを掻くときの耳障りな響き
三流やくざのような態度で熱湯を吐き出す年代物のガス給湯器
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