饒舌する不在(それが伝言板ならどんな言葉も読み取れることはない)/ホロウ・シカエルボク
 

ジャンクショップの店頭セールで陽炎に消えそうな地球に落ちてきた男
ゲームセンターの二階の隅で腰を振り続けている若い男
アーケードの真ん中でふらふらと倒れ込む浮浪者のような老婆
毛並みの悪い三本脚の大型犬がそんな自分でも喰らいつける餌を探している
少しずつ害をなす潜伏性ウィルスのような睡魔
長く長く鳴り続けている携帯電話の着信メロディ
クラッシュする車のボンネットが弾け飛ぶ音
住宅街で住民と揉めている新興宗教施設の教祖と思しき男
ゆっくりと首を絞めるみたいに身体にまとわりつく湿気ばかりの風
ポータルサイトのトップページにどこかで起こった地震の速報
空になったウェットティッシ
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