終末と、始源と/まーつん
 
存在
それ(・・)は 神だった

空の階段から 山の頂へと
ある日 裸足で降り立った神は
変わり果てた世界を見渡して 嘆息した
視界に飛び込んできたのは 蒼穹の青(ブルー)と 砂漠の肌色(フレッシュ)

かつて その万能の指先が
無限の色彩で飾り立てた命の楽園は
今や たった一組の色合いで 天と地に塗り分けられていた

だが 吹きすさぶ風の向こうに目を凝らせば
銀色の波の輝きが 遥か彼方の海辺から
この 世にも稀なる訪問者に向かって 手招きをしている

砂利を踏み 白い息を吐きながら
神は歩き始めた 山を下り 谷を越え
弛むことのない足どりは 
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