終末と、始源と/まーつん
 
わりなき砂丘の連なりだけが
地平の彼方へと繰り返されていく 抜け殻の世界
在りし日の輪郭を失った なだらかな海岸線から程近い 丘の頂に残された

一本の石碑

今 その表(おもて)に震える手を這わせる 一つの人影があった
することを失くした 空と海と太陽は 身を寄せ合い
固唾をのんで その様子を見つめていた

その人物に 性別はなかった
男であり 女でもあった
その人物には 年齢もなかった
幼くもあり 年老いてもいた
愛を得るために 片割れを必要とせず
知恵と引き換えに 無垢を手放すこともない
何も必要とせず 何も欠けるところのない 人に似て

非なる存在
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