終末と、始源と/まーつん
の恵みを拾い集め 海の恵みを釣り上げて
限られた糧を分かち合う時 そこに争いはなかった
だが やがて 人は豊かになった
作物を実らせ 家畜を肥やして
富が争いを産んだ時 その心は枯れ始めた
国を築き 土地を広げて
積み上げた時の記憶を歴史と名付け 自らを誇った
その気まぐれな指先で あらゆる技を成して文明を築き
空へ延びる若木のように 種の高みへと駆けあがっていった
そして 長い時が流れ
今 地球は 倒れかけた独楽のように
物憂げに回転を緩め 総ての命の骸が
砂の臥所にまどろみながら 塵に還ろうとしている
だが 見るがいい
緑枯れ 川干上がり
終わり
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