交錯する断片/記憶/桐原 真
 
くまでやってきたら、
ほら
裸足で歩いてゆくよ

遠くというのは、つまり、
きみの鼻歌が届かないところ
ということだけれど



耳の奥ですうすうと響く
自転の渦よりも果てしない




うたかたの
ながいながい電線まで
息継ぎの仕方は、万華鏡に閉じこめて

誰ひとりとして
回し方を知らない、万華鏡に







真夏の世界で
焼けるような深呼吸をしてから
水に潜るんだよ、ね


(ゆるやかな曲線を描く線路では
   青くちいさい花が
   時々、ゆれています)


淡い
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