交錯する断片/記憶/桐原 真
くまでやってきたら、
ほら
裸足で歩いてゆくよ
遠くというのは、つまり、
きみの鼻歌が届かないところ
ということだけれど
耳の奥ですうすうと響く
自転の渦よりも果てしない
うたかたの
ながいながい電線まで
息継ぎの仕方は、万華鏡に閉じこめて
誰ひとりとして
回し方を知らない、万華鏡に
*
真夏の世界で
焼けるような深呼吸をしてから
水に潜るんだよ、ね
(ゆるやかな曲線を描く線路では
青くちいさい花が
時々、ゆれています)
淡い
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)