萩尾望都私論その5 私の赤い星1「母からの逃亡」/佐々宝砂
少年サンデー(言わずと知れた『まことちゃん』連載中)が大好きで、私の親もまた変な親でそういうものが大好きだったから、私の枕には、なんと母親手縫いのまことちゃんグワシ刺繍がなされていた(いま思えば、よくあんなもんのうえで寝たよ)。
小松左京も筒井康隆もブラッドベリもラヴクラフトも(親に隠れて川上宗薫も)読んでるけれど、まだ萩尾望都は知らない。そんな可愛いのか可愛くないのかわからん10歳のガキが、隣町の小さな本屋でふと週刊少女コミックを手にとったとき、母親べったりSF漬けのシアワセな頭にバチバチバチと火花が飛んだ。「このマンガは私のものだ」と私はおもった。お母さんにはあげない。読ませない。「この
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