隻腕の利き腕/朝焼彩茜色
 

   漲る 彗星を操る


修羅場に赴き
四天王の門前掃いに 片腕の彗星 渇で飛ばす

帝釈天は黙秘する
阿修羅が額に近づいて来る
さっきまでの漲りが 葬られる 砂の足音が生ぬるく響かない

帝釈天は足を組む
阿修羅が額に近づいて来る
後ずさりする足を 準利き腕が
くい止める

三分割されない阿修羅に

失うものなど 欠片も刻んだと
準利き腕が純粋に火を吹く

火汗が不自由のない足まで流れる

三分割されない阿修羅に
額の汗を凝視されている

 初めての修羅場に

地動説の進化のなさに
自分の愚かさに 虚しさに

隻腕の祀る祭壇に
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