なにもかも叩き壊された場所/ホロウ・シカエルボク
 
廃墟といえば、数年前そんな光景を見たことがある、ただ当てもなく西の方に走ったんだ、原付でね―いつも気になっていながら足を向けたことの無かった道へ、その日は入って行ったんだ、そこには住宅地のようなものがあってね…「ような」ってのはさ、確かに住宅地のようなものではあったんだけれど、すべての家は壊されていたんだ、基礎のコンクリ部分だけを残してね―なんだかひどい壊され方だった、仕事で壊されたわけじゃないみたいに見えた、よくない感情のままに重機を振り回したみたいなさ…俺はなにもないことにガッカリして隅で立ち小便をした、そして、帰ろうと振り返ったときに、敷地の外れ、山肌に沿うように建てられたコンクリの小さな建
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