なにもかも叩き壊された場所/ホロウ・シカエルボク
ある、まあ早くに目覚めたところで、いまの俺には眠りなおす時間はいくらでもあるのだが…時々俺は、廃墟の窓に干された色褪せたボロボロの洗濯ものになったような気がするときがある、無駄に汚れ、無駄にさらされ、無駄に朽ちて―時々俺は、自分が誰かの夢の中でだけ生きている人間なのではないかと思うことがある、誰か、例えばこの俺自身の…陽の当らない路地裏の側溝を流れるよどんだ水が、区域の変るところの段差で病人のようにゆっくりと流れてゆく、病人のように―ベッドからこぼれ落ちて戻ることが出来ないまま、苦痛にのたうちまわる病人のようにさ…ひどく喉が渇くけれど、近頃じゃ自動販売機で何か買うにも躊躇してしまうような状態だ、貧
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