あざみ嬢の物語/田園
 
あざみ嬢の物語


「老人たちは言った。」


あざみ嬢あざみ嬢あなたの刺は危険。この麻を被っていきなさい。

あざみ嬢あざみ嬢あなたの刺は危険。このフードを被っていきなさい。

あざみ嬢あざみ嬢あなたの刺は危険。この鎧を被っていきなさい。


あざみ嬢は言われるがままに体をちぢこめた。

「わたしはわたしであってはならないのだわ」

しぜんとそう思うようになっていた。


ある時、旅の途中のツバメが、

あざみ嬢を見てやってきた。

「やあ、こんにちわ。でも君は男かい?女かい?鎧で顔が見えないよ。」

「ああツバメさん、わ
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