ほつれ むらさき/木立 悟
火をなぞる火
けだものの火
溶け流れても
火をなぞる指
短く忘れ
帰り道に手を結び
思い出す
朝の遠さ
狩るもの
水の両腕
霧を指す霧
副葬品を運ぶ径
宵越しの氷河期
遠回りの荒野
径はいつも
繰り言ばかり
緑を迎えにくるむらさき
石の足は土になり
進みつづける呪いから逃れ
静かな再会を見つめている
力の入らない渦まきを
常に右腕に重ねあわせて
風の柱 降りてくる色
死神の馬の駆るところ
湖の水を飲もうと
飾られた枝が身をかがめる
花の匂いに動けぬ牛
人形の背の溶ける昼
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