時計の中のこびとたち/佐々宝砂
 
てきた。
「あんた、新顔の秒針かい? 最近は新顔も少なくなってきてねえ。世の中デジタルとかが流行っているらしいねえ。あんたらみたいな秒針のある時計ならまだいいが、わしらみたいな振り子の柱時計は出る幕がないよ」
「いや、おれは秒針じゃなく秒針の代役で・・・」
「ゲームがはじまるわよ!」
 彼は短針と長針からゲームのやりかたを聞いた。ほとんど騎馬戦のようなゲームで、短針と長針が秒針を背負い、秒針が持っている歯車やネジやゼンマイ(時計によって違うらしい)を秒針同士で奪いあうのである。しかし彼はそういうことをゲームの最中に聞いたのだった。何が何だかわからないうちに大きなネジを一本手渡されて
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