時計の中のこびとたち/佐々宝砂
 
も悪いことをしたような気になり、思い立ってタンスの上から救急箱をおろしたが、こびと向けの救急薬はないようだった。カットバンも包帯も、何もかもが大きすぎる。そこで彼はティッシュ・ペーパーをちいさくちいさく切り、それに消毒薬をかるく吹きかけ、細く細く切ったカットバンでこびとの腕に貼りつけた。

「これでどうかな」
「だけど、ゲームには出られないわ。動かすと痛いみたいだもの」
「あんた代わりにゲームに出てくれるか」
「ゲームって・・・」
「今夜は時計のこびとのクリスマス・パーティーなんだ。そこで、短針と長針と秒針が三人揃って一組になってゲームをやる。ハードなゲームなんだよ、かなり動
[次のページ]
戻る   Point(1)