時計の中のこびとたち/佐々宝砂
 
うに彼を見あげながらとことこ歩いてきた。
「あんたが乱暴なもんだから、この子が怪我したじゃないか。今夜のパーティーをすごく楽しみにしてたのに。これではゲームに参加できない。どうしてくれる」
「この子って、あの、誰」
「この子って、秒針だよ」
 背の高いこびとが、いちばん細いこびとを背負ってやってきた。華奢なこびとは足をばたつかせながら泣いている。見ればその細い細い腕から血が流れているようである。
「おれ、何か悪いことしたのかな」
「悪いなんてもんじゃないわよ、見てよ、この腕」

 背の高いこびとが言った。細いこびとは畳に坐ってぴいぴい泣き続けている。彼はなぜかとても悪
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