時計の中のこびとたち/佐々宝砂
るかな。彼は夜の風に吹かれてぶるぶると震えながらノブに手をかけた。
するとそのとき、背後でこんな声が響いたのである。
「あら、なんて大きなターキー! そちらでもクリスマス・パーティーやるんですね!」
彼女はスーパーの袋を二つ抱え、息を切らしていた。
「いや、そういうわけじゃないけど。こいつはね、もらったんですよ。だけどひとりじゃ食べきれないし、どうしようかと思ってたところで。よかったらあげましょうか」
「いえ、とんでもない。こんなに大きなターキー、高いでしょ? でも、もしお暇でしたら、それ持ってうちに来ません? 今夜うちでちょっとしたパーティーやるんです。女三人集まって
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