時計の中のこびとたち/佐々宝砂
って、パーティーっていうのも大げさだけど。一人でも人数の多い方が楽しいし、女ばっかりでしょ、男のひとが来たら喜ぶと思うな」
「いいんですか」
「ええ、もちろん」
「それじゃあ・・・」
喜んで、と彼は思った。ええ、喜んで!
彼女は、枕元に置かれた目覚まし時計を手にとった。文字盤にはポインセチアの絵があった。
「ねえ、どうしてこの時計の秒針、カットバンがまいてあるの」
彼は欠伸をかみ殺しながら答えた。
「ああ、それ。昔、おれがその子に怪我をさせたんだ。ぴいぴい泣いて可哀相だったもんで、消毒して、カットバン貼ってやった。今はもう治っただろうなあ」
彼女はくすりと笑い、時計を元に戻した。
「あなたっておかしなひとね。だから好きよ」
カチリ、と針が動いて時を告げた。
The End
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