時計の中のこびとたち/佐々宝砂
 
と動いているはずがないし、あんなにも早く時が過ぎ去るはずがないだろう。

 それはそうと、彼は、自分の部屋に戻ったのではなかった。彼は自分の部屋の外側で、つまりドアの前で、どすんと尻もちをついた。彼が大きくなったのだからターキーは小さくなるのではないかと思ったが、ターキーは大きいままだった。時計のこびとは、彼のサイズに合わせてターキーを大きくしてくれたらしい。
 でも彼はあまり嬉しくなかった。この馬鹿でかいターキーを、ひとり暮らしの身でどうしろというのか。時計のこびとたちのパーティーは今やたけなわだろう。おれはあいつらからも仲間外れにされちまった。しかしこのターキー、ひとりで食いきれるか
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