大洪水/葉leaf
ばならない。
点の破片から平面の小道へ、分析されるものたちは、山脈の中心から幾筋も分岐した上り坂や下り坂の脇に生えた灌木の茂みの暗がりの中へと潜り込んだ。起床は闇の中で、距離感覚だけで探られた携帯電話で時間を確認すると午前三時、澄んだ虫の音が聞こえていて、室外へと送り込む闇への回答の充満に、無料で積算された光の確率を織り込んでいた。二十代最後の日が、もつれだした視界とともに始まった。蛍光灯を点けて、コーヒーを飲んで、本を開き文字を読む。本が堆積してわずかな柱や壁となり、文字の広がりがハンモックを作るとき、冷たいサッシや沈んだ机、にぎやかな畳の動き出した角度から、石のような存在の錯誤は混成される
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