しそう/茶殻
こんなことをいうのはしのびないけれど私の頭の中にもう私の墓は建っている
仏具は風化し供物は腐蝕し冬の日の乾いた光の受け皿になり憮然と佇む姿を
想像せずにいられない
かつては海に散骨してもらうことばかり考えていた 魚になりたいと思っていたし
魚でないならばせめて海の底に根を張って生きてみたいと思っていたから
それは変わらない その頃と同じ強さではないが今も少なからずそう思っている
思うだけにとどめている
単純な話だ
誰が僕の骨を拾い ばら撒いてくれるのか 埼玉から太平洋まで流れ着くには
先が長い
何の変哲もない石を腰にぶら下げている私はどこかで沈んでしまいかねない
まして沖まで
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)