身体がどうして花に触れられよう。花に触れられるのは、たましいばかりだ。/リンネ
、多摩川は死者たちを流れていく。
流れるものたちの浮かぶ、波紋ではネオンが観音様のように光る。
傾斜という傾斜がいちいち病院に収容されていく。
平坦だけが残り、あぶれものの川が点となりとどまる。
逃げそびれた、文字のたましいが、
救急車のサイレンからこぼれる。
こぼれた手前、蝶のように逃げてしまった。
運ばれない、蟷螂たちの文字だけが歌になる。
ときどき多摩川は病院のカテーテルを流れる。
同じくして、歌は群れるものたちの悲しみを流れている。
鉛筆と文字のような遠い睦まじいかかわり。
川が分裂していく、点滅する死を流れるために、死を探しに。
あっという間、目が見えないところま
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