すべては砂のようにそこら中にあって/ホロウ・シカエルボク
からね。きちんと本腰を入れて降ってくる雨のことしか、外のことは判らない。
眠りがひどく不規則になって、おかげさまで目覚めている時まで足元が覚束ない、だけど行かなくちゃいけない場所がある、かけなくちゃいけない電話がある…本能だってもう捻じ曲げなくちゃいけない。剥き出しの感情はどこに出したって喜ばれづらいとしたものさ、おれは自由でいたい人間だけどね、せめて自分に与えられた当然の権利についてはね…だけどそんな個人の領域なんて関係ないってなもんであれこれと踏み込んでくる人間がたくさんいるのさ。おれはそんなこと知ったこっちゃない、だけどそんな素振りばかりしていられないときだってある、ああ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)