島/るるりら
【命の島】
瀬戸内の生温かい風の中
虫篭を編む
白いビニール製のストローを器用に組み立てて
円錐状の虫篭を編む
昔は 葦だので編んだらしい
ストローの語源は ワラだと言うけれど
ここの人は茎の穴に茎を挟み込んで つみあげて 虫篭を編む
虫とり籠に
底は無い
ロート状の虫篭を そっと蛍に被せて
しばらくの間だけ
蛍の光にそこに いてもらう
瀬戸内海の島々のほとんどの島や本土では 源氏ボタルが優勢だ
けれど なぜだか 富士山に似ているという この似島だけでは
平家ボタルが しずかに 命を紡いでいる
またたく その光に
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