島/るるりら
 
に 
暗がりが寄り添う



【虫の息の島】

端麗に折りたたまれた 虫取り籠が
風に耐えている
波が くりかえしくりかえし島を洗う
水平線の果ての稜線のことを 島という
かぎりなく稜線が 水平線になろうとしている
ここはホボロ島

小山のようなこの島の てっぺんは 以前は22メートルもあった
今じゃあ 潮がひけたとき 6mほどしか 海から顔を出せない 
人々はこの島を ホボロ島と呼ぶ
この土地の虫取り籠に この島は似ていて
虫取り籠のことを ここいらでは ホボロと呼ぶからだ

最近になって 学者が この島が消滅しようとしている理由を
つきとめた。ちいさな虫が この島を
食べ続けている
島は 虫に食べられて消滅しようとしている

ほろぼろと ホボロ島は 
今日も食べられ続けながら
こころおきなく波と遊ぶ

島に 
生き物の声がする  
島でなくなっても
生き物の声がする 
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