誰にも決められることじゃない/ホロウ・シカエルボク
 
切り、宿舎を片付けた、食堂で数人の同僚が話しかけてきたが、すべて適当に話しを合わせるだけだった、やつらはみんな嬉しそうに見えた、おれは次の日家族に、ここが閉まることになって退職金を貰った旨を書いた手紙を送り、銀行で全額を口座に入れた、それから宿舎に帰って酒を飲みながら考えた、考えているうちに夜になった、星空が綺麗だった、いつもに増して綺麗だった、それを見ていると涙が出た、大声で泣きたかったけれど、そんなことをしたら外の部屋に居るやつらに笑われるだけだったろう、だからおれは宿舎を出て山に入った、一時間ばかり森の中を泣きながら歩いた、そうしているうちに気持ちは落ち着いた、あんたの言うとおり、ほかの何か
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