誰にも決められることじゃない/ホロウ・シカエルボク
 

その首に首輪はなかった
ということはこいつは自由だったはずだった
こんなところで死ななくてもよさそうなものだが
でも
首輪が外されたときにここでよくなったのかもしれない
こいつは鳴いただろうか、朝や夕に
いつか一緒だったものたちのことや
自分がここに来た理由を思いながら鳴いただろうか?
研いだ針のような朝日に向かって
最後を知ったものの目つきのような夕日に向かって
そうしていつか息をしなくなって
蛆に食われて
風に
流れて
風の通ったあとには
少し減った質量の香りがしただろうか

魂には質量があると考えたやつがいた
きっと
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