誰にも決められることじゃない/ホロウ・シカエルボク
 



凍えたコンクリートに水が浮き出る
アンモニアのない小便みたいな臭いがする
剥がれた天井のボードの上に見える鉄骨は
もとの色が判らない位に錆びついている
おまえの死んだ理由は聞くつもりはない
おまえの生きてるときのことなんかまるで興味がない
おまえが生きてるときはきっと
おれよりもずっと賑やかにしてただろうから
漠然と殻だけを残したボイラーを眺めながら
おれはそんなことをぶつぶつと呟いた
聞いているのか聞いてないのか
おまえは超然とした佇まいを見せて
だけどこれ以上ないくらいにしがみついた埃に隠れそうになっていた
高音の電波ノイズみたい
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